ABTCカード申請のステップと注意点ABTCカード(APECビジネス・トラベル・カード)は、アジア太平洋経済協力(APEC)の加盟国間でビジネス渡航を行う際、ビザなしで簡単に入国できる優れたカードです。これにより、ビジネスマンは加盟国間での移動がスムーズになり、空港での入国審査も専用のレーンを利用できるなど、様々なメリットがあります。

ABTCカードの申請にはいくつかの段階があり、それぞれ慎重に進める必要があります。まず最初にご自身がABTCカードを申請する資格があるか確認する必要があります。香港で日本人の方がABTCカードを申請する場合の基本的な申請資格は次の通りです。申請者は、貿易や投資、サービス業などを営む企業に所属しているビジネスパーソンである必要があります。ABTCカードはビジネス渡航を目的としているため、申請時にはAPEC域内を頻繁に出張する理由や所属企業の情報や業務内容などを説明する必要があります。過去に重犯罪などの犯罪歴がなく、各国の法律を遵守していることが前提となります。有効な日本国旅券を所持していることに加え、香港の永住権(パーマネントID)を保持している必要があります。

ABTCカードの申請のためには、いくつかの書類が必要になります。香港で日本人の方がABTCカードを申請する場合の一般的な必要書類としては、申請書、パスポートのコピー(有効期限が十分残っているもので顔写真が載っているページ)、証明写真、香港パーマネントIDのコピー、雇用証明書または推薦状(申請者が頻繁にAPEC地域をビジネス目的で旅行する必要があることが記載されている必要あり)、会社の名刺などがあります。業務内容や会社状況などにより追加資料が必要となる可能性もあります。また、申請する国や地域によって必要書類が違いますのでご自身で申請国の政府のホームページなどを確認することを推奨します。ご自身で進めていくことが難しい場合は、ビザ専門家に相談し進めていくことも一つの方法です。

申請が受理されると、各APEC加盟国による審査が開始されます。この審査プロセスは通常数ヶ月かかります。全てのAPEC参加国でAPECビジネストラベルカードの審査が開始されると申請番号が発行されます。APECビジネストラベルカードの審査状況確認サイト(ABTC System)にアクセスし、申請番号を入力することで審査が進行中の状態や進捗を確認することが可能です。この審査では、申請者がすべての加盟国に対して入国が許可されるかどうかが判断されます。 一部の国では、追加の審査や質問が発生することもありますので、その場合は迅速に対応をしましょう。全ての審査が完了し、申請が承認されると、ABTCカード(クレジットカードサイズのプラスチックカード)が発行されます。カードの有効期限は通常5年間で、その間にAPEC加盟国をビザなしで訪れることができます。ただし、アメリカ(ESTA)、カナダ(eTA)は電子渡航認証が別途必要となりますのでご注意ください。

ABTCカードの申請にはいくつかの注意点があります。ABTCカードの申請は、一度に複数の国で審査が行われるため、手続きに時間がかかります。香港で申請した場合は、香港イミグレーションで約2ヶ月の審査が行われ、その後は各国で3ヶ月程審査が行われます。必要資料を提出して受理されてから審査完了まではトータルで4〜6ヶ月程度と言われています。ですので、ビジネス渡航の予定がある場合は、余裕を持って申請を開始することが重要です。ABTCカードは通常5年間有効ですが、申請時に使用したパスポートの有効期限が切れると、ABTCカードも無効になります。パスポートの有効期限が近づいている場合は、先にパスポートを更新してからABTCカードを申請することをおすすめします。そして、ABTCカードはあくまでビジネス渡航のためのツールであり、カードをビジネス以外の目的で使用すると、カードの使用が制限される場合がありますので注意が必要です。

ABTCカードは、アジア太平洋地域でのビジネス渡航を非常に効率化する優れたツールです。ビザ申請の手間を省き、スムーズに加盟国間を移動できるため、ビジネスマンにとって大きなメリットがあります。ただし、申請プロセスにはいくつかの注意点があるため、事前の準備をしっかりと行いましょう。

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